透析患者と便秘

         1.はじめに
            かっての私の主治医にお会いした時、開口一番「下剤を使用していますか。」と尋ねられました。「その当時は、まだまだ毎朝便通があり、使用して
           いません。」と答えました。
            確かに私が通院している透析病院にも何人か下剤を処方されている方がみえます。概ね非糖尿病性透析患者でも高齢者か、糖尿病性透析患者
           さんであるようです。「透析患者の便秘の頻度は非常に多く、70%の透析患者は下剤を使用してるそうです。たかが便秘と思うかもしれませんが、
           便秘により命を落としたり、癌になりやすくなったりすることもある。」(( http://cetaka.com/constipation/ より引用)とか。私としては、そんなに多い
           という印象は無いのですが・・・・。

            何故高齢者や糖尿病性透析患者さんが便秘になりやすいのであろうか。

         2.透析患者の便秘原因と対策
            非糖尿病性透析患者高齢者の便秘や糖尿病性透析患者の便秘の原因は、小腸の蠕動運動の低下と体内水分量の減少が主原因と推測する。
            ( http://cetaka.com/constipation/  を参考にされたい。)
            それ故、適切なDWの設定が必要でしょうし、小腸の蠕動運動を活発にする軽度の運動が大切になる。
            合わせて、便に必要な食物繊維の摂取が大切になるという。しかし、食物繊維を取ればとるほど生命維持を危険にするカリウムが多くなるというジレ
           ンマもありますが・・・。
            その対策は、透析時間の延長(4時間透析で有れば、5時間に、それでも足りなければ6時間に。)が一番。私などは、週 3回の6時間透析と透析
           液K濃度の為でしょうか、僅かに低カリウム血しょうの領域になっていますから。通常の透析患者さんでは禁止されるでしょうバナナ(カリウム含有量が
           非常に多い)を食し調整しています。当院Drに話しますと、「止めた方がよい。」とは言われた。

            残るは、大腸の腸内細菌。人の腸内には、100種類・約100兆個の腸内細菌が存在するようで、その集団を腸内細菌叢と言うようですが、腸内細菌
           叢では、小腸で吸収されなかった食物繊維や食事成分の一部が分解され、ビタミン類など有用な物質と、フェノール、クレゾール、アンモニアや発がん
           物質など有害な物質が造られるという。腸内の悪玉菌が多いと、有害な物質が多く作られて、癌になりやすくなったり、便秘になりやすくなったりするよ
           うです。

            その対策は、善玉菌を人工的に増やすしかないのでは。ビフィズス菌などの乳酸菌を多く採るように心掛ける事が肝要ではなかろうか。

            残念な事にビフィズス菌などの乳酸菌を多く含む食品は、処方箋外のこと故、医療現場では、処方されません。自己負担ですが、命には代えられませ
           んから心ある透析患者さんは、その対応をされる可能性が高い。患者任せになりますから、病院側から積極的には患者には言い出せない側面もありま
           しょうか。

         3.透析医療現場の対応
            こうした透析患者の便秘への対応は、下剤の処方が最初にくるようです。確かに院内では、栄養指導員さんもみえますが、どこまで便秘患者の助けに
          なっているのであろうか。

           そして、最も重要な便秘患者のDW自体が適切であるかどうかの検証は果たしてどこまで実施されているのでありましょうか。私の経験では、当院のDW
          は、かなりファジイーなように推測をしております。それ故私は、Drの了承を得て、私自身独自のDW調整をさせて頂いております。これが、問題の第1点。

           運動療法は、当院でもリハビリ室があり、透析日には、20〜30分間自転車こぎ等を積極的に推奨されているようです。{科学的な説明は出来かねますが、
          透析患者の体内血液のリンの濃度を下げる効果もあり、リン吸着薬(レナジェル等)は、便秘を促進する可能性もあるようですから。}

           しかし、当院は、他の透析病院と同様4時間透析が主流。やっと高血流透析が、自然と行われる様にはなってきていますが、時間延長を積極的には推奨
          されていない点、まだまだかと。患者自体の病院任せの透析姿勢とそれに乗っかる病院の体質が合体しての合わせ技の成せるせいでもありましょうか。







            

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