維持透析患者のHb(ヘモグロビン)値は、どの程度が望ましいのだろうか

       1.はじめに
          維持透析患者の腎性貧血治療ガイドライン( 2015年版 慢性腎臓病患者における腎性貧血治療のガイドライン )が存在する。
          詳しくは、上記 ガイドラインを参照されたい。
          それによれば、年齢・性差・人種により程度の差が見られる。
          透析医学会のガイドラインには、3種類のHb値で、腎性貧血診断基準が表記されている。
           年齢      60歳未満        60以上70歳未満      70歳以上
           男性  Hb値 < 13.5g/dl   Hb値 < 12.0g/dl   Hb値 < 11.0g/dl
           女性  Hb値 < 11.5g/dl   Hb値 < 10.5g/dl   Hb値 < 10.5g/dl    と。

           * 平成28年3月末現在 当方 68歳 男性。とすれば、Hb値は、12、0g/dl以上の方が良いのではないだろうか。

       2.私の場合の腎性貧血治療について
         ・ 直近の4ヶ月のHb値をみていると、腎性貧血診断基準に合致している。
          年 月 日  H27/12/7   H27/12/21   H28/1/ 4   H28/1/25  H28/2/8  H28/2/22  H28/3/14   H28/3/28
                       Hb値(g/dl)     10.5            11.0           10.4           11.6          11.8        11.2          11.5           11.6

         ・ 私の場合、Hb値上昇の為に、現在腎臓でのエリスロポエチンの産生が無いのか、極少量であり、透析終了時 増血剤(通称 エスポ)を
          血液中に月曜日 750単位 水曜日 (750単位) 金曜日 750単位 で、対処しています。透析回路には、両チャンパ・ダイアライザに
          は、残血が毎回あり、今までは、投与していなかった水曜日の750単位を追加しても、なかなか12.0g/dlまで上昇しないでいる。

          上記 ガイドラインには、心管系にトラブルを抱えていない透析患者であれば、目標値 Hb値 11〜13g/dlも可と。

          しかるに、H28/3/30(水) 当院DrにHb値の上昇の為 増血剤(エスポ)の増量等について打診しましたが、透析患者の私の場合、
         12.0g/dl未満が望ましく、私が 目指す 12.5g/dlでは、高すぎ、生命予後も悪くなるという事を話された。

          したがって、現在の私のHb値は、適切ですという判断を下してみえるかのようです。 

                      本当にそうなのであろうか。Hb 1g/dl程度上昇では、有意差はないという研究報告もあり、QOL項目では、Hb値が、高値の方が、患者
         のバイタリテイは、向上するという報告もあるようですが・・・。

                     透析の先達からは、PWI(血液濃縮率・・透析前後のHtを用いる手法であるようです。)は、10%以下に押さえないと。Hb値が、12の場合 
         20%であれば、Hb値は、透析直後 14.4g/dlに上昇し、透析効率も落ちるよと言われ、ほどほどであるようにと・・・。言われている。
          私自身知らない事を既に知り、対処されている方もあるようです。

                      * PWIは、何に基づいて出されるのであろうか。「総蛋白・アルブミン・ヘマト・赤血球等の透析前後の値 つまり透析に余り左右されない物
          質。」を用いるようで、合わせて「総蛋白とヘモグロビン、ヘマトクリット、濃縮率に微妙な差が有りまして、これも面白い現象です。」と述べら
          れている。本当に透析は、奥が深い!!

          *DW設定・変更の指標となるPWI(血液濃縮率)の有用性について述べてみえる論述があります。転載可のpdfに出くわした。
            https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsdt1994/32/7/32_7_1071/_pdf  です。参照されたい。

                     * インターネット上では、「PWIとは除水を行った際に循環血漿量が何%減少するのかを表すもののようで、PWIを算出するには、透析前後の血
          液検査によって得られる総蛋白量を用いて循環血漿量変化率(※1)を求め、そして透析前後の患者体重から体重変化率(※2)を求める。
           この二つを除することでPWIを算出できる。」と記述される。

                             ※1 循環血漿量変化率=(透析後総蛋白−透析前総蛋白)÷透析後総蛋白 
                             ※2 体重変化率=(透析前体重−透析後体重)÷透析前体重
                                    PWI=循環血漿量変化率÷体重変化率

                                    PWIの値は、2〜4が至適範囲であると考える。2以下の血液濃縮率では、更に除水が可能であることを示し、DWを減少させる方向
               に考える。
                                  また、4以上の血液濃縮率では、除水過剰を示し、DWを増加させる方向に考える。PWIは、DW調整の指標となると。
                                  ( PWI計算方法は、http://www.tokyo-hd.org/pdf/38th/38th_06.pdf  を参照させて頂きました。)

           *  平成28年4月11日(月) 4月1回目の血液検査。当院では、初めてでありましょう。前後の血液採取にて、総蛋白量・Hb・Htを調べて頂けた。
            Dr曰 「1回こっきりです。」と。それ程重要視してみえないかのようです。

                        前      後
               総蛋白    6.7     7.2        PW I   { ( 7.2-6.7)÷7.2}÷{( 77.5-75.2 )÷77.5}=2.3399758≒2.34
               Hb      11.9    12.9                      (透析後Hb−透析前Ht)÷透析前Hb×100       (12.9-11.9)÷11.9×100=8.40%
               Ht      36.2    38.5            (透析後Ht−透析前Ht)÷透析前Ht×100%  (38.6-36.2)÷36.5×100=6.63%
               体重    77.5Kg   75.2Kg

               上記のPWIから、血液濃縮率は、Hb.Ht共に10%以内の範囲であり、総蛋白量では、2.34であり、現在のDW 75.5Kgは、適切では
              なかろうか。或いは、もう少しDWをきつくして、DW 75.4Kgでもいいのかもしれない。しかし、4月11日(月)の透析中 最高血圧が、100
              (同一ナースさんではなく、毎回変わりますし、果たして正しく現れた数値であるのかは?)を切る事が後半に1回ありました。
                この点から、そうしてみると、私のPRRは、あまりいい数値ではないかも知れません。(100を真とみれば)前後では、100台の前半値
               でしたから、引きすぎかなとも思われます。その為 4月13日(水)は、DW 75.6Kgでして頂き、血圧値もずっと100台の後半から110
               台後半を推移していた。*

          いったいどれだけ、透析病院の透析スタッフは、奥の深い透析治療について探求しつつ業務をされているのだろうか?該当Drはなおさらですが・・。

          私の少ない透析専門病院転院数でも、自院の透析が、血液透析(HD)なのか血液ろ過透析(HDF)であるのか、ベテランのナースさんでもご存知
         ない方もあったかと。それでも業務は出来る方と看做されていた。中には、患者からいろいろ質問すると、「専門家にまかせなさい。患者さんは、知ら
         なくてもいい。」と言われる技師さんもいたかと。いろいろ言う患者さんを嫌う傾向にあるのも透析スタッフさんの一般的なスタイルであるという印象を
         知らず知らずに内在させている自分がいることも事実ではありますが・・・・。
          

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