痛風発症のメカニズムと透析患者の血清尿酸値についての雑感
1.はじめに
痛風は、贅沢病とか良く聞く。
実際「アレキサ
ンダー大王,ニ ュー トン,ダー ウィン,ルター な ど歴 史上に残る大きな仕事を した人物には痛風が、多く,アメ
リカ海軍予備兵
の知能テストの成績は血清尿酸値とよく相 関すること,企業の役員,学歴の高い人や大学教授 な どは一般集 団 と比 較
して血清尿酸値が高
いこ と,IQ148以上の集まりでは痛風が多いことな ど,尿酸と知的機能との相関を示した報告は多い.もちろん,これ らの知
的活動家たちが血清
尿酸値が高いために社会的成功をな
しえたのか,それとも社会的に成功を収めた人たちは,その地位の向上に伴って高蛋白食や高プリン体食
に傾き,飲酒の機会も増えて2次的に血清尿酸値が上昇
したのかは,科学的に証明することがむずかしく,結論を得るのは容易ではない.」と。
( http://lifesciencedb.jp/dbsearch/Literature/get_pne_cgpdf.php?year=2003&number=4801&file=bkGtlJvPcCkQaA7Q2SOfUg
より引用 )
健常者の場合は、血清尿酸値の上昇は、痛風発症のメリットが、高くなるようです。
透析患者は、透析により体内の血清尿酸値は、透析毎に下降し、健常者基準値下限域を大きく外れる事は、よく知られている事と思います。
それだからでありましょうか、痛風は、体内の尿酸貯蔵臨界<尿酸は体液中に溶けきれずに結晶化して、尿酸塩沈着症(痛風関節炎や腎障
害など)の原因>を超えると発症するかのようで、しっかり透析をしている患者群では、体内では、尿酸貯蔵臨界を超える事はほとんど無いので
は・・・?
しっかりとした透析を実施中の透析患者の痛風は、極稀ではないかと推測致しますがどうでありましょうか。
2.痛風発症のメカニズム
「痛風は高尿酸血症に起因する病気です。尿酸は、プリン体(プリン環の構造を持つものの総称。核酸の代謝産物)が分解されることでできる物
質です。プリン体を多く含む食べ物を取り過ぎたり、代謝経路のどこかに異常ができたりすると、体内のプリン体は少しずつたまっていきます。プリ
ン体が体内で分解されると、最終産物の尿酸がつくられます。
産生された尿酸は、腎臓や腸管から排出されます。血液の尿酸値は、体内で産生された量と排泄された量のバランスによって決まります。血液
中の尿酸値が上昇すると、高尿酸血症が出現します。尿酸が関節や腎臓のなかで結晶となると、さまざまな症状が現れます。」
( https://medicalnote.jp/diseases/%E7%97%9B%E9%A2%A8?utm_campaign より引用 )と。
*
プリン体とは、「プリン体とは、多くの人が体にとって悪いものと思っていますが、生物の細胞中に含まれる遺伝子の構成成分で、生命活動に
必要なものです。私たちは日頃の食事を通して、プリン体を摂取していますが、食事だけではなく、実はプリン体の8割(1日に約500r〜700mg
事実かどうかは確認していません。)は、体内で生成されているのです。体内のプリン体は、細胞の代謝・増殖などに利用されます。利用されな
かった一部のプリン体は、尿酸として体外へ排出されます。」( https://www.meiji.co.jp/yogurtlibrary/laboratory/report/pa-3/01/ より引用 )
また、プリン体は、「細胞の核を構成する核酸(DNA、RNA)という物質の構成成分」であるようで、全ての食物中に含まれている。体内に於け
る生成と排出のバランスが崩れると血清尿酸値は、上昇・下降傾向を示すようです。
私の印象では、摂取食物量を控えるしかプリン体摂取量減少を考えるしか無いのかも知れません。薬を使用しない方法としては・・・。*
「1日に体内で産生される尿酸はおよそ700mgです。1日で排泄される量も700mgなので,体内の尿酸は常に一定の量(健康成人男性の場合およそ
1,200mg)に保たれています。これを「尿酸プール」と呼びます。
体内での尿酸の収支が合わず黒字になってしまうと,尿酸プールが溢れ1デシリットル当たりの血液中の尿酸(尿酸値)が溶解限界の7.0mgを超えます。
これが痛風の原因である「高尿酸血症」です。黒字の原因別に次の3タイプに分かれます。
・ 排泄低下型 ・ 尿酸産生過剰型 ・両者混合型とか。」(http://www.skk-net.com/health/illness/01/index02.html より引用)
*
さしずめ私の場合は、腎機能が、透析導入直後より更に低下している可能性が高く、もしかすると以前よりプリン体摂取が多くなっている可能性もあ
るようですから混合型カ*
透析患者における血清尿酸値は、血清K値程神経質にならずとも良いようです。直ぐには死に直結していないからですが、長い時間をかけて心臓の
冠動脈を侵食していくかのようで、こちらの方を心配した方が良いようです。
「血清尿
酸 値 が1.Omg/dl上昇 す るこ
とに冠動脈関連疾患死と虚血性心疾患関連死は、男性でそれぞれ1.09倍と1.17倍に,女性でそれぞれ1.26倍
と1.30倍に上昇 し た。すなわち血清尿酸値の上昇は単独で虚血性心疾患のリスク
であることが明らかとなり,合併症の治療とともに,血清尿酸値そのも
のを低下させる治療が冠動脈疾患の発症予防と死亡率低下に有用であり,無症候性高尿酸血症においても血清尿酸値を低下させる治療が積極的に行
なわれるべきであることを意味 して いる。」と 。この記述は、あくまで健常者への対応であろうか。
( http://lifesciencedb.jp/dbsearch/Literature/get_pne_cgpdf.php?year=2003&number=4801&file=bkGtlJvPcCkQaA7Q2SOfUg== より引用 )
3.透析患者の血清尿酸値について
血清尿酸値については、健常者の尿酸値上昇とは、やや投薬基準値を異にするようです。透析をしても毎回の血液検査での血清尿酸値の上昇は、体
内での生成と排出のバランスが崩れている事を示唆している。放置しておけば、既に体内尿酸貯蔵の限界を超えているのでしょうから、透析にて余剰分
がすっかり排出されていれば、問題無いのですが・・・・。健常者では、血清尿酸値の許容量は、6mg/dL未満カ。透析患者では、どうなのでありましょうか。
某施設のDrは、自らのHP上で「透析患者では、許容されるのは、9mg/dL未満であろうか。」とも述べて見えるようですが、8/22当院Drにお聞きすると
「9mg/dLを境に、積極的投薬は、11〜12mg/dLからでしょう。」とも言われている。うなづける言葉でありましょう。しばらく様子見していくしかありません。
<付記
1>
私の血清尿酸値の大まかな経緯
詳しくは、私のHP上の血液検査データを参照されたい。
血液検査データH28/12/13(火) H 28/ 12/26
(月)
透析前 透析後 透析前 透析後 備考
尿酸 8.3 1.0
尿酸 6.0
0.7
尿酸 8.0
1.0 尿酸
8.8 0.9
H29/2/13 H 29/ 2/27 *
大まかには、血清尿酸値は、7〜8台を推移していた。
尿酸 7.9
0.8 尿酸
7.4 0.8
H29/5/08 H 29/ 5/22 転院1ヶ月を過ぎる頃、血清尿酸値に変化が現れた。
尿酸
5.7
0.6
尿酸 6.8 0.7 H29/8/7
H 29/ 8/21 大きく食事内容が変わった事では、転院先の昼食が、
尿酸
8.7
0.9 尿酸 7.4
0.9
H29/11/13 H 29/ 11/27 転院前の昼食と比べ、内容が豪華(高タンパク質が多く
尿酸 6.3
0.8
尿酸 7.4 0.7 H30/1/10
(水)H 30/ 1/22 成った事)になった事だろうか。
尿酸 8.5
0.9
尿酸 8.2 0.8
H30/4/10 H 30/ 4/24 そして、透析中の食事は、転院前では、透析中に食し、
尿酸 8.2
1.0 尿酸 8.1
1.2
H30/5/15 H 30/ 5/29 転院後では、透析後であり、食事前にリン吸着薬を服用
尿酸 6.4
0.7 尿酸
7.8
H30/ 6/4(1日空き透析)H 30/ 6/18 していなかった。7月2日以後からは、吸着薬服用。
尿酸
10.2
1.1
尿酸 6.6
H30/ 7/2
H30/7/18 (水) それでも、8月の検査は、9台を記録。
尿酸 9.6
1.1
尿酸 9.1
H30/8/6 H30/8/20
家での食事量は、不変と仮定した場合の推論ですが・・。
尿酸 7.8 1.0 〃
6.4 H30/9/3 H30/9/15 しかし、転院後の一日空く透析では、尿酸値は、6.6。
〃 8.1 1.1
〃
7.2
H30/10/1 H30/10/15 二日空く透析日の尿酸値のみ高いとみれば・・・。考え過ぎカ。
〃 8.2
1.1
〃 8.7 H30/11/5 H30/11/19
〃 9.0 1.2 〃
8.2
H30/12/3
H30/12/17
〃
8.7
1.4
〃 8.0 H31/1/7
H31/1/21
〃 8.4 1.2
〃 10.0 H31/2/4
H31/2/18
<付記 2>
尿酸降下剤について (下記の降下剤は、尿酸排泄促進剤ではなく、尿酸生成抑制薬であるようです。)
・ ザイロリック錠 100mg
体内で尿酸が作られるのを抑え、血液中の尿酸の量を低下させます。詳しくは、http://www.rad-ar.or.jp/siori/print.cgi?n=8037 を参照。
・ ウリアデイク錠
「日経メディカル
Onlineの医師会員を対象に、尿酸生成抑制薬のうち最も処方頻度の高いものを聞いたところ、半数以上の医師がフェブ
キソスタット(商品名フェブリク)と回答した。
第2位のアロプリノール(ザイロリック他)は40.9%、第3位のトピロキソスタット(ウリアデック、トピロリック)は5.6%の医師が、最も処方頻度
の高い薬剤として選んだ。」と (https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/series/survey/201805/556057.html?ref=RL3 より引用。)
・ フェブリク錠
「フェブキソスタットは、40年ぶりに新薬として承認された日本発の尿酸降下薬である。フェブキソスタットは、アロプリノールと同様、キサンチン
オキシダーゼ(XOD)を阻害することで尿酸生成を阻害する「尿酸生成抑制薬」である。ただしフェブキソスタットは、キサンチン(XODの基質)と
類似した分子構造を有するアロプリノールとは異なり、XOD以外の核酸代謝酵素を阻害しないのが特徴であり、このことから「選択的XOD阻害
薬」とも呼ばれている。」 (https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/series/drug/update/201102/518484.html より引用。)と。