透析患者が知っておきたい 透析に関わる諸症状について

          1.はじめに
             今まで拙稿で述べてきた事柄の総括的なまとめであります。透析中の血圧低下のメカニズムと留意点、
            カリウム(K)値の上限・下限について、その他もろもろについて概略的に述べておきたい。これは、私自
            身の為でもある事でありましょうから。

          2.透析中の諸症状
            @ 低血圧の発症(透析中・終了時)
                
                一般には、血圧=心拍出量×全末梢血管抵抗 で決まるとか。

                人の体の体液の割合は、約60%。体液の内訳は、細胞内に40%、間質に15%、血管内には、
               体重の5%にあたる血液として存在しているようです。

                ちなみに間質とは、生体内にある機能している器官等を実質支えたり結合させている物を言い、
               血管・神経を含むようであります。

              透析では、DW(透析患者の一番生存に適したその時の維持すると良い体重)を越えた体重分を透
             析で、徐水と称して水分を取り除く作業を行う。
              透析医学会 ガイドラインには、「DW 設定の指標としては,透析中の著明な血圧低下がない,透析
             終了時血圧は開始時血圧より高くなっていない、末梢に浮腫がない、胸部X線で胸水や肺うっ血がない、
             心胸郭比が50%以下(女性では53%以下)などがあげられる.」と記載されている。
              私の例で言えば、現在 DW 74.5Kg。(平成26年11月29日現在)とすれば、血管中にある私の血
             液は、体重の5%分でありましょうから、76Kgであれば、76000g×0.05=3800g=3.8Kgとなり
             ましょうか。

              水分に置き換えれば、1Kg=1ℓ であり、3.8Kgは、3.8ℓに相当します。DW 74.5Kgですから、
             徐水分は、76Kg−74.5Kg=1.5Kg相当の水を、透析中に体外へ取り出す事になります。
              体内の血管にある血液 3.8ℓから1.5ℓ分が、取り除かれる作業が、透析時間内(仮に5時間透析
             とすれば)に均等に体外に出されていく事になり、透析終了時には、血管内の血液量は、3.8−1.5
             となる筈であります。勿論血液は、水分だけではありませんから、血漿水のみが除去されています。

              3.8−1.5=2.3ℓとなり、私の血液濃度は、血漿が少なくなっていきますから高くなりますが、その
             濃度を元の濃度へと戻す働きが、体内にはあるようで、それを代償機構と呼ぶのだそうです。

              まず最初に、血管内の血液濃度が高くなると、濃度の高い方へ他の所にある水が、移動する(浸透圧と
             言う)作用が働く。間質にある水分が、血管へ移動。「安全な除水速度は、0.6L/時でありましょう。」とか。
             (詳しくは、 知って得する透析技術 Q&A - 大阪府臨床工学技士会(Adobe PDF) 
                               
http://www.osakace.com/wp-content/themes/oacet/pdf/qa.pdf  参照)

         細胞内に在る水分の移動速度は、0.6ℓ/時?であれば、600ml÷60分=10ml/分の移動で
        ありましょうか。
         私の除水量は、1.5ℓの筈。5時間透析であれば、1.5÷5=0.3ℓ/時であり、分速に変換
        すれば、300ml÷60分=5ml/分でありましょう。

         代償機構の血管内への水分の移動は、徐水速度 5ml/分に対して、最大?水分移動速度は、10
        ml/分で対応しているとすれば、血管内の血漿水は、ほとんど変化しないことになり、当然急激な血
        圧低下は起こらない。私自身、実際起こってもいない事であります。

                  * ここで過剰に水分が、血管内に入るかというと、除水相当分かそれ以下しか流れ込まない。浸透圧は
         濃度の濃い方へ薄い方から流れ、同質の濃度にしようとする働きであるからです。最近の最新の透析コン
         ソールには、血漿再充填速度(プラズマリフィリングレート・略してPRR計)が分かる装置が付いている。
          更に、最新コンソールは、BV計(血液濃縮率 Ht値の変化から循環する血液量の減少率を測る装置)が
         あり、循環血液量が、透析最初の数値から15%近くまで減衰すると血圧低下が急激に起こる可能性が高
         いとか。

                     また、http://www.touseki.jp/nakatsugawa/images/activityreport/2005_02.pdf に於ける「BV計(循
         環血液量変化率測定装置)で分かる事」では、通常適正体重に維持されている透析患者では、均等除水によ
         りBV(循環血液量)は、直線的に低下する。その程度は、体重の1%の除水により3.3%(BV)の減少が、
         BV計のモニタリングから明らかになったと。*
           
          参考までにhttps://www.kanagawa-iri.jp/wp-content/uploads/filebase/koryukai/2010/3PS-10.pdf 
         なる論述 題名「血液透析中の除水に伴うプラズマリフィリングレートの推定」がありますが、詳しくは
         上記PDFファイルを参照されたい。
 
          上記論述からは、プラズマリフィリングレート(PRR)と除水速度間には、透析初期は、除水速度に
         水分補填速度は追随しているかのようです。水分補填速度(PRR)は、一定ではなく、最大値は、除水
         速度と同等、しかし、最小値は、除水速度の2割〜4割弱減であるかのようです。高低差があり、PRR
         値は均等ではない。透析後半は、除水速度に対して、もはや最大値は、除水速度の2割減であり、最大
         4割強の減を来たし、補填されない状況となり、当然循環血液量は、徐々に減少していき、血圧低下を
         きたしているようであります。(除水速度は、0.75L/時である患者さんであるようです。)

         このように、「糖尿病性神経障害やら慢性心不全疾患の透析患者では、この代償機構が働きにくいようで、
        得てして、起こりえない徐水量でも、低血圧を来たしやすいとも。

         低血圧になると、症状としては、冷や汗、嘔吐、意識喪失などで、血流不足による臓器障害を誘発
        する恐れもありましょうか。また,低血圧のために十分に透析をおこなえなければ、除水不足による
        諸症状の原因ともなるという。

         低血圧の本性は、(1)循環血漿量の減少 (2)末梢血管収縮の低下 (3)心拍出量の低下の三点。

         循環血漿量の減少の背景には,@絶対量の減少 A急激な減少 B 代償機構の低下があり、絶対
        量の減少は、ドライウエイトが適切でなく低く設定された事(その患者にとってきつい徐水)が原因
        と考えられるという。

         急激な減少は、透析間の体重増加が多く除水量が多い場合などに起こるようであります。(数値的
        には、0.6ℓ×透析時間の積以上の大幅な体重増加(徐水量相当)である時でありましょう。)

         代償機構の低下は、蛋白質の少ない患者、貧血の強い患者で起こるとも言われているようです。」
         ( 以上の内容は、http://ja-nn.jp/seminor_report/1_22th.pdf からの引用であります。)

                 * 急激な血圧低下・極度の低血圧の透析患者さんに対処するには、10%Nacl液が使用されているようですが、
         「50%ブドウ糖は、浸透圧2788mosm/l、10%Naclは3418mosm/lの浸透圧を示します。そして体重50kgの患者さ
         んに20ml注入した場合(細胞外液量を体重の約20%と仮定した場合)ECFを10lとすると血清浸透圧は5.5mosm/l
         上昇します。同様に10%Naclを約 10ml使用した場合は3.42mosm/l上昇します。透析後半の使用はNaclであると
         HD後口渇が残るのでブドウ糖が良いと考える施設もありますがはっきりしていません。確かに代謝経路を考え
         るとDMでもなければ、ブドウ糖の方が安全?補足でした。」という工学技師さんの意見もあるようです。*

      A 不整脈
        透析患者に多く出現する不整脈。大別して二つ。
        規則正しく秒針のようにうっていた脈が一瞬途切れる、こうした脈がとぶ不整脈のことを期外収縮とい
       うようですが、期外収縮は、もともとの調律(タイミング)で心拍が生じると予想される時期より早期に
       生じる電気的な興奮のことのようで、そのため、余分な心拍が現れます。心房( しんぼう)あるいは房室(
       ぼうしつ)接合部から生じる期外収縮を”上室(じょうしつ)期外収縮 ”といい、ヒス束(刺激を伝える筋
       線維)より下部の心室(しんしつ)から生じる期外収縮を”心室期外収縮”というようです。

        前述のpdfファイルにも、「 透析患者の60〜 80%が上室性期外収縮、50 〜 80%が心室性期外収縮
       を有している。」と。「心室性期外収縮は生命をおびやかす危険があるため注意する。心室性期外収縮は
       透析中から透析後4 〜 6 時間に出現しやすく、多源性で連発するものが多くみられる。」とか。
        「透析中に不整脈をきたす要因として、血清電解質やpH、循環血漿量の変化、一過性低酸素血症があげら
       れる。」とも記述されておりました。

        「上室期外収縮にせよ心室期外収縮にせよ、透析患者は、かなりの確率で、こうした不整脈の疾患へと進ん
       でいくようでありましょうか。こうした疾患の原因は、言い換えれば体内の残留水の有無に依存しているので
       ありましょう。この点に、適切なDWの設定と、徐水が関わっているという事のようです。」(私の独断と偏
       見の所見以外のなにものでもありませんが・・・。間違ってはいないと自負しております。)

        「急激なカリウム(K)の低下は心室性期外収縮や発作性心房細動を誘発させる。K は高値でもよくないが、
       低くなりすぎるのも問題である。3mEq/L 以下まで低下した場合にはとくに注意すべきと考えられる。」と。

        この点は、既に私の場合、透析後の血液検査にて、平成26年10月中以降連続して、3回程K値が、透析後
        2.9mEq/Lになっており、これは、透析液中のK濃度が、2.0mEq/Lであることが原因ではありましょう。
        透析技師さんには、透析液のK濃度を上げる事は出来ませんかと伝えてありますし、私の透析後のK値低下
        について、病院側の見解を知りたい旨を透析室々長さんに依頼してありますが、11月下旬になっても一向に
               説明がありません。

         その後、私の透析後のK値が、3.0mEq/L以下にはなっていないからでありましょうか。よく分かりま
        せん。
                 本来なら、心エコーは、当医院での定期検査は、年1回、2・3月のようでありますが、こうした場合に
        は、臨時 心エコーをして欲しいと思いました。

         思い余って、12月上旬に、透析室々長さんにお聞きしましたが、既にDrから返答があったとか。まっ
        たく覚えておりません。記憶を辿れば、低カリウム血症は、どのような数値から言うのか。という事を聞い
        たように思えますが・・・。それで、終わっていたようです。5月頃の事であるようです。

         仕方が無いので、一括処理の透析液。多くの患者さんに対しての透析液循環であり、一個人のみの要望で
        はありますから、その対処に室長さんも苦慮されている事と思い、他の透析施設では、どのようにされてみ
        えるのかとインターネット上で探索しておりますが、一つ参考になるpdfファイルを見つけた。一括処理
        透析液でも、一個人対策としてカリウム濃度を上げる方法に挑戦されているクリニックがありました。
         参照されたい。http://www.touseki.jp/nakatsugawa/images/activityreport/2008_02.pdf であり、HD
        透析での対策でありますが、HDF透析にも流用できるのではないかと・・・。素人ではありますが、考えま
        したが、どうでありましょうか。

         やはり、平成26年5月以降は、当医院での栄養指導員の方に、カリウム濃度の高い食品を1.2教えて貰
        い(バナナ等)それを食すように致しました所、血液検査ではK値は、3mEq/L以下にはならなくなりました。

         しかし、血液流量を360ml/分にしてから再度K値2.9mEq/Lが1ヶ月半続いてしまいました。もっとカリ
        ウムを食品にて取らざるを得ない状況になったようです。食事では、普通の透析患者の真逆をする事となります。
         自分自身の事でありますから、しばらくはこのように対処しようと思っております。

         変なたとえですが、軍隊並みの支給された服に自身を合わせる以外にないのかも・・・。K値が多ければ、自
        身では、カリウムの摂取を少なくするか、食事を変えないでとすれば、透析時間をかえない方法としては、血液
        流量のアップという方法や、或いは、透析時間を長く出来ればその方法もありましょう。
         その逆は、上記記述の逆しかないでしょう。       

         幸い、平成26年11月中旬に、小牧市の健康診断があり、心電図検査を受けましたが、まだ結果はきており
        ません。何事もなければいいのですが・・・。(平成26年12月4日 結果を知りました。心電図は、正
        常範囲内。不整脈の兆候は、今の所無いようです。)

         本年 5月にも、透析後の血液検査で、K値が、連続2回 2.9mEq/Lでありました。その時にも、透析液
        K濃度について室長に話をしておりますが、それ以後何ら反応はありませんでした。とすれば、こうした延長
        上の対処の仕方でありましょうか。
         10月頃に室長に話した時、「何やら思い当たる事がありますから。」とも言われておりましたが、それっ
        きりであります。

                 ウイキペデイア 低カリウム血症 では、次のように述べられていた。
         「低カリウム血症の症状としては、高血圧、疲労、筋力低下、神経機能の低下、不安、イライラ、抑うつ、
         睡眠障害、虚弱、便秘、乾燥肌などがある。
          軽度の低カリウム血症では、若干血圧の上昇や不整脈を引き起こすことがあるが、特に症状がみられない
         ことがしばしばある。
          中程度の低カリウム血症では筋力の低下、筋肉痛、痙攣、便秘などの症状を引き起こす。
          さらに重症な低カリウム血症では、麻痺、自律神経失調、強度の筋肉痙攣などが起こる。深刻な低カリウ
         ム血症を伴う横紋筋融解症の報告がある。 骨格筋機能の重度の障害からくる呼吸不全は稀なことではない。」
          と記述されていた。上記の記述は、下記URLからの抜粋であります。 
         ( http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BD%8E%E3%82%AB%E3%83%AA%E3%82%A6%E3%83%A0%E8%A1%80%E7%97%87 
          最終更新 2013年5月2日 (木) 16:46 ) 

           上記の記述から類推すれば、私の場合は、極軽度の低カリウム血症が、1ヶ月半近く続いているとも言え
          ましょうか。その点でのDr等からは、何らかの説明は、今の所、私としては聞いていませんが・・・。    

       B レストレスレグス症候群の症状
                 レストレスレグス症候群の症状は両側の腓腹筋(ヒフクキンと読み、別名 ふくらはぎの事)や足底部の深部の
        締め付けられるような表現しにくい異常感覚で、安静にしていられない不快なイライラ感がある。夜間入眠
        時に症状が強くなるため臥床が困難となる。透析患者の20 〜 40%にみられ、透析患者の睡眠不足の原因の
        60%を占めるとか。

       C バーニングフィート症候群の症状
         バーニングフィート症候群の症状は、下肢の焼けるようなジンジンする灼熱感で,多くは疼痛を伴い、進
        行すると筋力低下、筋萎縮、歩行障害を招く。
         これらの発症には中分子量物質の関与が推測されているとも、また,鉄欠乏や貧血、ドパミン機能異常も
        指摘されている。
         ちなみにドバミン機能異常とは、「脳内の神経伝達物質の1つであるドパミン(ドーパミン)の機能障害」
        の事柄でしょうか。

       D 透析不均衡症候群
         私も、透析導入時に、経験しております。ほとんどこうした症例が多いのでしょうが、維持期でも起こる
        とか。主は、尿素の血管内での増減が関わっているのでしょう。

         聞けば、「血管内の毒素である尿素は、透析で、かなり早く除去されるようであります。ところが、脳内
        の血管に存在する毒素の尿素は、脳組織を保護する血液脳関門があるため緩徐にしか低下しないという。
         そのため、尿素が脳組織で高濃度、血液で低濃度となり浸透圧の差が発生し、脳内へ水分が移動するようで、
        この結果脳浮腫状態となり、脳の諸症状(頭痛や嘔気、嘔吐などから、場合によっては意識障害に陥り、死に
        至ることもある。)が発生するのである。」とも。
         尿素増減以外にも、発症するようですが・・。

       E スチール症候群
          透析患者は、初期には、患者の利き手ではない手首にシャントと呼ぶ、静脈側に動脈血を流す手術を行う。
         血液を浄化する為、容易に血液を体外に取り出し、人工腎臓(ダイアライザーと呼ぶ機器)できれいにして
         体内へ戻す透析療法がし易くする為の処置であります。

          このシャントは、通常では、手指に行く動脈血までは、横取りしないような手術を施されているようですが、
         糖尿病などの末梢循環障害を起こしやすい原疾患の患者や反復する手術により末梢の動脈血流が減少している
         患者、肘部より中枢側に内シャントを造設した患者で発症しやすいと聞く。

          この症状は、手指にいく動脈血管から手指に繋がる経由血管をバイパスにして、シャント血管へと流れるよ
         うになる事が主原因であるとか。何等かの対策が出来ればいいのですが、最悪の時は、このシャントを閉じて、
         新たな部位にシャントを再建せざるをえないとも言う。

          知れば、知るほど透析患者は、待ち構えるこうした諸症状に対応していかざるを得ないようです。

         以上の事柄も http://ja-nn.jp/seminor_report/1_22th.pdf からの引用であります事を明記しておき
        ます。大変参考になりました。

                  また、三島外科胃腸クリニック様のhtmlファイルにも、低血圧発症についての記述があります。参照
        下さい。(リンク依頼中であります。)
            http://www4.ocn.ne.jp/~m.c/tosekinews26-2.htm です。

                                            平成26年11月29日 記載
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