長期透析患者の体重減少傾向について

       1.はじめに
          健常者も透析患者も老齢と共に体重は減少傾向を示すようですが、透析患者は、透析を受ける際”食事制限”が課される事が多い。「塩分を控えなさい。
         カリウムの摂取には気をつけなさい。カルシューム×リン値は、55以下に。次回の透析の体重増は、DWの4〜5%以内にとか等々。」

          確かに透析患者が、長寿をまっとうする為には必要不可欠な事のようですが、これを忠実に実行すれば、体重減へと導かれていく事は必定。

          当院の栄養指導員の方も食事制限に近いことを透析患者さんに血液検査を受けた直後の患者さんに病室で、個別に透析中に話されています。(4時間
         透析の患者さんを中心にですが・・・・。)

       2.MIA(ミア)症候群とは
          詳しい事は、http://cetaka.com/mia/ を参照されたい。
          MIAとは、3つの英語の頭文字から作られた造語のようで、日本語では、栄養障害・炎症・動脈硬化と言い換える事ができるようです。これらが、相互に関
         わり、連鎖し、透析患者にのしかかって来るという。
          
          上記URLの記述者である臨床工学技師さんによれば、「透析患者は、食事制限やホルモンの代謝異常により、食欲不振になりやすい傾向にある。」と述べ
         られ、「食欲不振になると、栄養状態が悪くなり、感染症になりやすくなります。感染症になると、体内で炎症性サイトカインが増加して動脈硬化が促進されたり、
         さらに食欲低下につながります。このように栄養障害・炎症・動脈硬化は、綿密なつながりがあります。」と。

          確かに、私も透析暦11年目になりますが、年々体重は、減少傾向を示しています。(老齢も関わっていると思われますが・・。)
          言い換えれば、透析により本来腎臓が行う老廃物の除去と同時に、人体に必要なアミノ酸やら必要なホルモン類も除去してしまっている事に尽きましょうか。
          血液検査のアルブミン値は、4.0g/dLが標準値でありますが、私も、平成26年頃は、部分的にかろうじて維持していましたが、透析時間が5・6時間では、4.0
         g/dLの維持は、出来ない事が多い事も事実でありました。

          透析で除去されても人体に必要なアミノ酸やらホルモン類を必要不可欠な量だけ食事で摂取すれば良いわけですが、それがなかなか難しい事でもあるのも事実。
          無理してでも食べる事に尽きましょうか。しかし、問題は、糖尿病性腎症の方の体重増加。BMIが、25を超える事は、脂肪の増加であり、インスリン抵抗性の
         原因となり、インスリンの増量は、体重増加の悪循環を招くとか。

          某透析クリニックのDrも次のように述べてみえます。{MIA症候群の患者を救いだすには「透析液の清浄化」と「透析量の増加」しかありません。}(引用は、下記のURL
          http://ameblo.jp/simonkei/theme-10026180565.html からです。)と述べてみえますが、透析量の増加が出来るのは、体重増加が栄養と運動で適切に出来
         える患者さんである事でありましょう。透析量の増加は、透析時間と週の透析回数に関わりましょうか。

                       * 透析効率を上げる基本的な事柄は、透析時間の延長・週の透析回数(週 4回)の増加でありましょうが、これがなかなか難しい。手っ取り早く効率を高め
           る手立ては、透析血液流量の増加(300〜400mL/分)と透析液流量(600〜700mL/分)の増加でありましょう。コンソールの性能にもよりますが・・・。*

                       *某Drの掲示板での書き込み、「PWV、ABI、説明が難しいですが・・・ ネットで調べてね。簡単に言えば、 動脈硬化の状態の指標です。1年前に透析導入
          されて、当院に転入して来た、50歳代の方。
           いま、7時間のHDF、血流400でやっているのですが、1年前のPWV、ABIと 今日のそれは、全く違っています(改善しています)。
           長時間透析、特に若い方には絶対お勧めですよ。」
 ( http://www.hdf.jp/bbs/c-board.cgi?cmd=one;no=34954;id=#34954 から引用)
                        透析量の増加により動脈硬化の改善兆候の一事例(透析導入一年後の透析患者さんの事例)でありましょう。コレステロールからの動脈硬化等老化に伴う
          事柄は、透析効率を高める事により改善傾向が認められたという事のようでしょうか。

                        透析不足等から一旦石灰化が起こった血管(これも一種の動脈硬化でありましょうか。)には、長時間透析は、無力であり、改善の効果は期待できないとか。
           しかし、長時間透析は、非糖尿病腎症患者さんには、未然に血管の石灰化を防ぐ効果は、高いと推測致しております。が、糖尿病腎症患者さんには、むしろ
          HbA1cなる血糖値に関わる数値が、6%以下に維持する方が血管石灰化の予防に繋がるかのような記述もあるようで、リン値は、あまり関わらないとも記述され
          ています。*

          透析に関わるスタッフさんは、{体重計に乗った患者さんに、「どうたらこうたら言う前に、きっちり食べているのか、水分なのか、排泄はどうなのか」を
        問いかける必要がありますね!
}という某クリニックのDrの言葉を肝に銘じる必要がありはしないだろうか。栄養指導員さんも含めてですが・・・。
          あくまで4時間透析を維持する透析病院では、無理かも知れませんが・・・。上記引用は、http://ameblo.jp/simonkei/theme-10026180565.html であります。

                                                                                平成29(2017)年2月25日 脱稿





          

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