新たな透析効率の指標について

         1.はじめに
            日本透析医学会が任意で透析病院へのアンケートを実施し、その結果が、医学会でまとめられ、透析医学会のHP上で発表されています。
            詳しい事は、http://docs.jsdt.or.jp/overview/pdf2009/2008all.pdf を参照されたい。(2008年12月31日 現在)

            それによると、透析時間は、4時間、血液流量も200〜250mL/分、透析液流量は、400〜500mL/分が最も一般的であるかのようです。
            それに対し、透析患者の長期生存者数(上記 PDFファイル 図表 8 参照)は、5年未満が圧倒的に多く、全体の約50%。それ以後は、急
           激に生存者数は激減し、25年生存者は、男性女性共に5000人位。全透析生存者割合でいけば、3.5%であるようです。
            透析患者の生命予後は、5年未満患者が圧倒的であり、それ以後は、急激な減少傾向を示すようで、透析開始から10〜20年程度生存でき
           ればいい方でありましょうか。

            それにしても、透析暦が長くなればなる程この数値の急激な下降傾向は、何を物語っているのでありましょうか。具体的には、透析導入年齢や
           ら平均寿命との関わり等も加味しないと本当の下降傾向の意味は、理解できないかも知れませんが・・・。それにしても急激な下降傾向を示して
           いる点、透析効率は、大きく関わっているとしか私には思えないのですが・・・。

         2.新規透析導入者と透析死亡者
            新規透析導入者は、年々微増し、透析死亡者も年々微増している。が、その差は、新規透析導入者数が上回り、年々1万人程度増加傾向を
           示しているように推測される。透析費用は、1年間では、一人月 40万円とすれば、1年間で480万円。1万人1年間で増加すれば、480万円
           ×1万人≒500億円の増加になりましょうか。

            こうした透析患者数が、年々増加し続ければ、透析医療費は、年々増加する一方でありましょう。厚労省も重い腰をあげ、生活習慣病からの
           新規の透析患者を増加させない取り組みをはじめたようです。

            透析導入の入り口に当たる対策は、急務であり急ピッチで進められているようですが、透析患者になってしまった患者群への透析効率につい
           ては、旧態以前のまま。それが、4時間透析体制として蔓延しているのではないでしょうか。4時間透析では、透析不足の可能性が高く、透析合
           併症を併発し易い為、心管系の疾患となり、心不全等の突然死を引き起こし易くなると言う。それが、透析暦が長くなると透析長期生存者数の
           急激な減少というパターンを生んでいるのではないかと推測するのですが・・・。

         3.隔日透析・オーバーナイト透析実施透析病院の出現
            現在は、週 3回 月 14回までが、保険診療であり、これ以上の回数は、病院側の持ち出しとか。
            隔日透析とは、月水金日火木土の繰り返し。これだと大の月だと16回透析カ。14回分を超える2回分は、透析病院は、材料費等の請求を出
           す事が出来るかのような記述をみましたが、2013年頃からは、請求を受け付けなくなったとも記述される方もあるようです。

            オーバーナイト透析とは、就寝する時間帯に病院に泊り込んで7〜8時間透析を受ける事のようで、月・水・金 週 3回透析の金曜日のみに
           次回の月曜日までの透析が、二日空く為に長時間掛けて毒素やら水分を抜き、透析患者の死亡率を低下させ、働く患者さんが、社会労働に従
           事し易くする目的で始められているかと。詳しくは、https://www.jinnaika.com/pdf/20160601.pdf  を参照されたい。

            こうした透析の出現は、アメリカの透析の父と言われる某医師の新たな透析効率指標 HDP(ヘモダイアリシスプロダクト)なるものに依拠してい
           るのでしょう。HDP=透析時間×(週の透析回数)の2乗なる指標のようで、HDPは、70以上が透析最適指標数値とか。

            例えば、私の場合 週 3回 6時間透析であれば、HDP=6×(3×3)であり、数値は54。70には、到底及びません。
            上記のHDPについては、http://ameblo.jp/simonkei/entry-11610635315.html  を参照されたい。
            更に、週 4回透析の有用性を述べてみえる福島の某透析クリニックの実践報告もあるようです。

          4.当院での一部 月 14回完全実施
             2016年に月 14回完全実施希望者の募集があり、私は、早速申し込みました。月 1回乃至2回土曜日透析が追加され、部分的ですが、週
            4回実施出来る週が出現しました。その際の血液データは、若干良い傾向が出ており、二日空く透析日であった月曜日は、何となく体が軽い感じ
            がしますが、際立っての変化を実感しておりません。もう少し週 4回を積み重ねれば、それなりの実感は湧くかも知れませんが・・・。

                             現行透析医療制度下では、年間週 4回透析完全実施は、無理でありましょうし、将来一ヶ月 透析回数が、16回までになっても・・・・。
             今出来得る患者にとっての最善の透析環境は、一ヶ月 14回透析完全実施と週 3回制度下での二日空く透析日の前の週の最期の1日のみ
            透析時間を7〜8時間にする長時間透析でありましょうか。これとても現行下では、透析病院側の理解と協力がなければ成り立ちえない事柄であ
            りましょう。

             及び透析医療に深い関心を持ち、透析患者の立場に立った透析スタッフさんの多い職場環境でなければ、成り立ち難い事でもあります。労働条
            件の関わりがあり、長時間労働・勤務内容の過酷さの軽減等解決しなければ出来得ない事柄ではありますから。(介護士さん不足は、過酷な労働
            条件の為せる事柄が大いに関わり、それに見合った賃金等の問題を解決しない限り魅力ある仕事とは、なり得ないのと同じでありましょう。)








            

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