骨密度低下の原因

             1.はじめに
                透析をし始めてから、毎年1回 何らかの形で骨量・骨密度(体全体或いは手のひら)の検査を受けています。幸い年齢に相応した骨密度
               であり、骨粗鬆症とは、未だ診断されていません。(平成29年6月現在)

                PTH値の上昇とあいまって、体内での骨・ミネラル代謝異常が起こりかけている。既に透析に入る前から体内での骨・ミネラルの代謝のバ
               ランスは、正常では無くなっていたのではなかろうか。

                一度、私の骨密度について骨粗鬆症ではないと診断されていますが、骨密度は、低下傾向にあり、老化の範囲内であれば、それ程急いで
               対策をする必要が無いのではなかろうかと思っていますが、事 慢性腎臓病になっていますので、老化だけでない別の要因もあるのではなか
               ろうかと思い調べてみる気になりました。

             2.現透析病院での骨密度について
                当院が委託している(株)メデイック 愛知ラボの骨量検査(CXD法)の結果であります。
                                      * CXD法(MD法ともDIP法とも言われるようであります。)この検査法の特徴は、「手のX線写真をアルミニウムの基準物質(骨量ファントム)
                  と一緒に撮影し、骨と基準物質の濃淡をコンピューターに読み取らせ、骨量を割り出します。
                   この方法は、(1)骨折リスクの予知がある程度可能、(2)体幹部へのX線被爆がない、(3)X線撮影自体は短時間で済むので、多数例のスク
                  リーニングに適しているなどの利点があります。
                   しかしながら、この検査では、手の骨量から脊椎などの骨量をある程度推測できるものの、微量な骨量の増減を正確に測定することがで
                  きません。」( http://a-supplement.net/kotusokutei.htm からの引用です。)と。

                 年月日      単位    H21/4/22 H22/5/31 H23/6/13・・・ H27/6/10  H28/6/8  H29/6/5
                 骨塩定量     mmA1   2.67    2.71    2.48               2.41      2.34    2.29
                 皮質骨幅の指数            0.493   0.486    0.500              0.432     0.426   0.428
                 GSmax             mmA1        3.89    3.87    3.48               3.41      3.26    3.28
                                      GSmin      mmA1    2.43    2.48    2.31                1.84      1.68    1.52
                                      骨幅       mm        9.33    9.33    9.39               8.80      9.16    9.22
                 骨髄質幅    mm         4.73    4.79    4.70                 5.00      5.26    5.27
                 骨長       mm        66.24   66.44    65.27              66.59            67.23     63.48

                 若年成人平均値対比 %   96      97     89                    87        84       82
                 同性同年齢平均値対比% 100      101     92                  93         90       88

                                   (参考) I−PTH値の推移
                年月日   H21/4/20 5/25     6/22   7/25 9/28 H22/5/24H23/4/25 5/23
                I−PTH        210         76        156        129     63         101      147        108
               活性化VB  オキサロール     〃      ロカルトロール  〃 オキサロール     〃        〃          〃
                〃使用量  週2回 週3(2.5μ)週 1   〃 週3(2.5μ)週2(2.5μ)週3  〃

                   * 若年成人平均値対比 %とは、「 WHO(世界保健機構)では、1994年に骨粗鬆症の基準を決めました。20〜40歳(若年成人)の骨の平均か
                   ら−2.5SD(標準偏差)以下になったものを骨粗鬆症として、骨折の危険ありとしたものです。
                    日本では、SDという単位が分かりにくいということで、1996年にパーセントを使った新しい診断基準をつくりました。 それは若いとき(20〜44歳)
                   の平均骨量の20%減少までは正常、20〜30%を骨量減少、30%以上の減少を骨粗鬆症と診断するというもの」です。
                    とすれば、H29年では、正常値ですが、あと2%骨量が減少すれば、骨量減少の範疇に入りそう。ますます骨粗鬆症の範疇に近づいていると
                   いえましょうか。
                    単純計算で言えば、私の場合、8年2か月で、骨量は、14%減少。1年間で約1.8%減少か。このまま推移すれば、骨粗鬆症範疇到達まで、
                   約7年弱で到達しそうであります。健常者でもこの位の進度で到達するのであろうか。やや早い速度と思うのは私のバイアスであろうか。

                                             * 「慢性腎臓病(CKD)においても,早期から骨折リスクが上昇することが示されている。」更に「CKDでも大腿骨近位部骨折のリスクが上昇す
                     る。」( Ensrud KE, Lui LY, Taylor BC, et al. Renal function and risk of hip and vertebral fractures in older women. Arch Intern Med 2007;
                     167: 133-9・・http://www.josteo.com/ja/guideline/doc/15_1.pdf より引用)と。
                      更に上記 PDFでは、「糖尿病とCKDは骨粗鬆症を引き起こし,骨折リスクを高める疾患と認知されている。」とも記述されている。決してバ
                     イアスでもなさそうです。*
                                 
                                             更に、厚労省 平成25年 年齢別簡易平均余命表によれば、私の平成29年現在では、平均余命は、15.08歳かと。骨粗鬆症範疇まで、
                   あと7年とすれば、8年間は、へたをすると自力での歩行は覚束無い状態になりはしないだろうか。出来るだけ骨粗鬆症にならず、尚且つ血管
                   石灰化を蔓延させない為にも色々あがきたいと思うこの頃です。*
                    平均余命表は、http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/life/life13/dl/life13-02.pdf  を参考にしました。

                  1年2年ではその差ははっきりしないと思い、8年間の違いをみてみました。確かに骨密度は、低下傾向。只骨髄質幅のみ逆に上昇。
                  同性同年齢平均値対比では、当院転院直後は、100%であり、本当に平均(中間層)であったようです。所が、8年余後では、中間層
                 から若干低下した状況になっております。一概には言えませんが、年齢相応の方よりやや悪い傾向ではなかろうか。
                  骨粗鬆症の範疇ではありませんが、かなり近づいているのでしょう。8年前と比べ、骨密度は、同性同年齢の方の低下傾向より若干早
                 いようにも取れそうです。骨密度の推移表をながめていると、大きな転機は、H23年6月前頃(私が63歳の頃)にあったのではないかと推
                 測する。透析導入は、58歳。

                                        骨粗鬆症を診断する際、若年成人平均値対比 %で、20%低下程度でも骨折をした場合は、骨粗鬆症と診断される場合があるとか。
                 あくまで若年成人平均値対比 %は、骨粗鬆症診断の目安でありましょう。診断されるDrは、患者の骨折頻度やら骨折部位が決め手に
                 なるのでしょう。最近亡くなった母も、骨折を繰り返していた。座布団を折りたたんで座り、床に滑り落ちた時尾てい骨にひび、完治した後
                 家でこけて、大腿骨骨折。寝たきりになってしまいました。骨粗鬆症患者であったのでしょう。齢 85〜90歳の頃の事でした。
                  加齢に伴うこうした急激な骨密度低下の原因は、何でしょうか。

              3.骨密度低下の原因
                 第1に考えられる事は、加齢による老化現象でしょうか。
                  「体内では骨代謝(骨代謝回転)という骨の新陳代謝が起こっており、土台となる丈夫な骨を維持するために古くなった細胞を壊し(骨吸
                 収)、新しくつくられた細胞(骨形成)へと骨が生まれ変わります。
                  ですが、骨の必須成分となっているカルシウムが欠乏したり、加齢により骨を形成するためのホルモン(カルシトニン)が欠乏してくると、
                 新しい細胞の産生量よりも古い細胞を破壊する量のほうが多くなり、産生と破壊のバランスが保てなくなる。」という加齢による現象カ。

                   *「 カルシトニンは破骨細胞に存在するカルシトニン受容体に作用して骨からのカルシウムの放出を抑制し、骨へのカルシウムとリン酸
                                         の沈着を促進する。尿中へのカルシウムとリン酸の排泄を促進する作用も有する。また長期的には、新たな破骨細胞の形成を抑制して、
                                         骨形成作用を相対的に増加させる。腎臓に対しては薬理的用量では腎臓のカルシウム排泄を増加させるが、生理的用量では腎臓のカ
                                         ルシウム排泄を減少させる。生体内でカルシトニンと拮抗する作用を持つ物質は、上皮小体から分泌されるパラトルモン (PTH)である。
                                         カルシトニンはガストリンコレシストキニンドーパミンエストロゲンにより分泌が促進される。」
                    ( https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AB%E3%83%AB%E3%82%B7%E3%83%88%E3%83%8B%E3%83%B3 最終更新 2016年7月1日 (金)
                     09:08 より引用 )*

                                        {エストロゲン(女性ホルモン)が欠乏すると骨吸収が亢進(通常よりも高くなること)して、それを補う骨形成が追いつかなくなります。加齢
                 (エイジング)はこのエストロゲン欠乏と酸化ストレスの両方にかかわる要因であり、その結果、石灰化障害など骨強度の低下につながるさ
                 まざまな問題が引き起こされます。}( https://medicalnote.jp/contents/151109-000019-AHKBAW  より引用。)

                                        * 酸化ストレスの弊害「ヒトの場合、酸化ストレスは様々な疾患を引き起こす。たとえば、アテローム動脈硬化症パーキンソン病狭心症
                  心筋梗塞アルツハイマー病統合失調症双極性障害脆弱X症候群[1]慢性疲労症候群などに酸化ストレスが関与している。」(
                   https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%85%B8%E5%8C%96%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%AC%E3%82%B9 最終更新 2016年12月31日 (土) 08:16
                  より引用)*

                   *  最近の研究では、骨細胞からのFGF23(リン代謝調節ホルモン)は、「腎臓においてFGF23に結合する蛋白が検索され、膜蛋白である
                    Klotho が結合することが明らかされた。Klothoは老化に関与すると考えられていた遺伝子。
                     従ってFGF23は、腎臓においてKlothoを介して細胞内へ情報を伝達しているものと考えられるに至った。また、FGF受容体には多くのサ
                    ブタイプが存在するが、FGF23は1型FGF受容体IIIcサブタイプ(FGFR1c)-Klotho複合体と結合することがわかった。」と。
                     ( 詳しくは、http://repository.dl.itc.u-tokyo.ac.jp/dspace/bitstream/2261/51488/1/h22_shimizu.pdf を参照されたい。)

                     更に、「FGF−23は、副甲状腺細胞増殖を介してホルモン分泌を促進する。つまり、二次性副甲状腺亢進症を悪化させる。この結果は、
                    今までの通説とは異なる事柄であります。」(この点は、以下のPDFファイルを参照されたい。 
                                         http://www.wakayama-med.ac.jp/intro/press/201702/170201-2.pdf )

                     これらの報告からは、老化は、加齢による生理現象ではありましょうが、特定の体内分泌ホルモンの作用で、亢進する可能性をも指摘
                    できるのではなかろうか。老化の要因と腎臓機能低下乃至は喪失患者(腎不全患者・透析患者)の要因に、違いはありますが、異床同源
                    的な働きの結果ではなかろうかと。*

                 第2は、複雑な要因が関わって引き起こされる。
                  「骨はカルシウムなどの成分を原料に新たな骨を産生しますが、カルシウムだけでは骨はつくられず、カルシトニン、ビタミンD、副甲状腺
                 ホルモンなどが必要になります。
                  これ等が過剰に増加したり、減少したりすると、体内のカルシウム吸収率が低下し、体に吸収されても骨に運搬されにくくなったりする。
                  カルシウムの吸収率が低下する原因は、体内でビタミンDが産生されにくくなったり、腸管機能が低下することなどが考えられるという。」
                   (「」内の引用は、 http://osprzemi.jp/a01cause.html からであります。)
                 上記の記述は、健常者の加齢に伴う微妙な体内ホルモンのバランスの崩れを言っているように思える。透析患者の場合は、腎臓機能の
                極端な低下という要因が加わり、更に体内ホルモンバランスを大きく崩しているのではなかろうか。・・・私の注
                   

                  ・ 骨粗鬆症 専門医Drの記述も併記しておきます。詳しくは、下記 URLを参照下さい。
                                             https://medicalnote.jp/contents/151109-000019-AHKBAW

                  ・ 日本骨粗鬆症学会 日本骨代謝学会 骨粗鬆症財団より出されている「骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン」2015年版を載せておきます。
                        http://www.josteo.com/ja/guideline/doc/15_1.pdf です。参照されたい。

                4.まとめ
                   体内での生命維持システムは、複雑であり、解明されていない事柄も多い。一つの臓器(例えば腎臓)の機能低下乃至は喪失した場合、
                  さまざまな形でその体内ホルモンバランスが崩れ、それを修復乃至回避する機構が働きカバーしようとしますが、適度なバランスが保たれ
                  れば、いいのですが、相互の微妙な拮抗状況下ではない為、過剰気味になったり、過小気味となり、体内でのホルモンバランスを大きく崩
                  しかねない。遺伝ではなく後発発症であり、まだまだ細部までの解明はされていないのが現状かと。

                   既に解明されている事柄を取り上げ、私が理解した事柄を記述しましたが、現場サイド(各地の透析専門病院)まで浸透するにはまだまだ
                  時間が掛かるのではなかろうか。

                                    付記
                 ビタミンD及び25(OH)D(肝臓で水酸化されたビタミンD)も骨密度を増加させる働きがあるようです。

                 「25-D のVDR(ビタミンD受容体) 結合能は活性型Dの約1/500 で非常に低いものの,後述するように25-Dの血中濃度変化が骨代謝だけでな
                く免疫や発がん,動脈硬化,高血圧,死亡など種々の生体変化に関与することが疫学研究を中心に報告されている。25-D の作用発現機構につ
                いては,ほぼ全身の組織に発現するVDR を介した作用と考えられる。しかし,25-D 自身が直接VDRと結合して作用を発現するのか,腎臓以外
                の組織で発現するCYP27B1 による局所での1,25-D 産生を介して作用を発現するかについての結論は未だ得られていない。」
                 ビタミンD栄養に関する最近の知見 −ビタミンDの骨代謝調節作用およびそれ以外の生理機能と必要量ー 2014年 神戸薬科大学衛生化学
                研究室 津川 尚子氏の論考より引用。

                 
                「ヒト前立腺由来培養細胞に25-ヒドロキシビタミンD3[25(OH)D3]を添加し,代謝,遺伝子発現,細胞増殖を調べたところ,CYP24A1遺伝子の転
               写誘導や細胞増殖抑制が観察された.CYP24A1による代謝物が多数検出されたが,1α,25(OH)2D3 (従来の活性化ビタミンD・・私の注)はほと
               んど生成しておらず,25(OH)D3自身がビタミンD受容体(VDR)に結合することにより作用したと考えられる.また,CYP27B1遺伝子ノックアウトマウ
               スに25(OH)D3を投与したところ骨密度や体重の正常化がみられ,25(OH)D3の直接作用が強く示唆された.
                これらの結果は1α,25(OH)2D3のみが活性型ビタミンD3であるという従来の考えを覆すものであり,今後,25(OH)D 3を骨粗鬆症やがんを予防す
               るサプリメントとして利用することが期待される.」
                詳しい論述は、https://seikagaku.jbsoc.or.jp/10.14952/SEIKAGAKU.2015.870438/data/  富山県立大学工学部生物工学科 榊 利之氏「代謝
               研究に基づくビタミンD作用メカニズムの再考」 2015年を参照されたい。(但し、動物とヒトとでは酵素反応は、若干違いがあるという事は研究者の
               共通認識かと。・・私の注)



                                     

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