透析患者における適正な体内水分量はどの位であろうか
1.はじめに
透析患者の適正な体内水分量は、DW(理想体重・適正体重・目標体重・基礎体重とも言う。)の約60%という事を言われる透析
病院の透析しおりもあるようですが、ほとんどは、具体的な数値は記述されていない場合が多い。
*
一般的には、人の体の体液の割合は、約60%。体液の内訳は、細胞内に40%、間質に15%、血管内には、体重の5%にあた
る血液として存在しているようです。(一般的にはという意味でしょう。)
実際は、成人男性:体重×0.6 (体重の60%が水分と考える)
成人女性:体重×0.5
高齢男性:体重×0.55
高齢女性:体重×0.45
が適切であるようです。*
いったいどの程度透析専門病院は、自信を持って透析患者のDWを決めているのであろうか。100人規模以上の透析病院では
身体組成測定装置(例えば、MLT-50)を備え、かなり確実な体内水分量を測定しつつ透析をされているようであります。
ある透析病院では、DWの決定要因を以下のように記述されていた。
「透析における基礎体重設定は、透析治療において重要な治療方針の一つです。基礎体重決定要因とし
1. 血圧の安定
2.
浮腫、体腔液貯留、心不全等の体内水分貯留が過剰な症状がない
* 浮腫 は、体 重 の5%の 体 液過 剰で 顕性 化す る とい われてお り、そ れ以 下は体 重の 測定 で確 認す る必要
が
あ るという。( https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika1913/91/Supplement-Sep/91_Supplement-Sep_224/_pdf 参照)
ということは、次回の透析までに食事等での体重増が、DW 75Kgの透析患者さんであれば、75×0.05=3.75Kg
以内であれば、浮腫は、顕在化しないという事でしょうか。
3. 心胸比
4.
HANP 検査結果が出るまでに日数が掛かるように思える。
5.
下大静脈(IVC)径
* 超音波による下大静脈(IVC)径は、多数 の 健 常 人 を 含 むIVCe及
びCIの 測 定で は、そ れ ぞ れ の 基 準 値 は16.7±3.2mm
、0.68±0.17(平 均
値 ±SE)で あ っ た が、明 ら か な 身 長、体 重、年 齢、性 に お い て 差 を認 め な か っ
たと。
( https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika1913/91/Supplement-Sep/91_Supplement-Sep_224/_pdf 参照)
6.
血液濃縮率(PWI)
* DW設定・変更の指標となるPWI(血液濃縮率)の有用性についての記述があり、転載可となる論述に出くわした。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsdt1994/32/7/32_7_1071/_pdf です。参照されたい。*
7. BVDR(クリットラインなどを利用した循環血液量の変化)
8.
INBODY(電気インピーダンス法)
以上でありました。」
身体組成測定装置(MLT−50)は、8の電気インピーダンス法での測定方法であるようです。約15秒位透析後の患者さんに電極
を付けて体内水分量を測定しているという。
2.私自身の体内水分量について
全腎協のHP上には、かってKt/vを血液検査の数値を入れるだけで簡単に出せるソフトがあったようですが、現在は消去されている
ようです。
そのソフトには、隠れた項目として体内水分量がある。ml/Kg表示の数値が推定値として出るようになっていた。
私自身の2015年1年間の推移をみれば、おおよそ538〜542ml/Kgでありました。
その頃のDWは、実質74.5Kgでありましたから成人の体重の約60%が、ほぼ適正水分量とすれば、74.5Kg×0.6=44.7Kg
であろうか。
水分換算で1Kg=1ℓとすれば、水分 44.7Kgは、44.7ℓか。44.7ℓ=44700ml。 44700÷74.5=600ml/Kg。
本来の私の適正体内水分量は、600ml/Kgでありましょう。
(一般的な成人である場合ではありましょう。高齢者では、体重×0.55
とか)
とすれば、私は、平成28年で、暦年齢68歳。高齢者の部類にはいりましょうか。であれば、74.5×0.55=40.975Kgの水分量
になるのかもしれません。
40975mℓ÷74.5Kg=550mℓ/Kgとなり、血液検査から導き出される推測値 538〜542mℓ/Kgに近似し、この数値が実数であ
れば、やや除水過多(10〜20ml相当)でありましょうか。ほぼ適切なDWと言えましょうか。それだからでしょう。透析最終頃の血圧値が、
上で110を若干切る時がありました。
上記の事柄は、体脂肪率を考慮しておりませんのであくまで目安でしかありえません事をお断りしておきます。
*
推定体内水分量を出す数式は、http://touseki.loglog.jp/04.17.htm 内にあるWatson式であるようです。
男性 (2.447−0.09516×年齢+0.1074×身長(cm)+0.3362×透析後体重kg)×1000÷透析後体重
女性 (−2.097+0.1069×身長+0.2466×透析後体重)×1000÷透析後体重
*
心胸比は、概ね46%台を推移。それでも、私の間接レントゲン撮影では、時として右肺下の尖った部分は鮮明には写らない状況が
出現していましたが・・・。血圧値は、上で110台前後であり安定していた。お陰で血圧降下剤(Ca拮抗剤)は、使用しないで済んでおります。
参考までに、平成28年4月11日(月)の透析後体重 75.2Kg。DW
75.5Kgであった場合、上記の推定体内水分量を出す数式に当ては
めると、537mL/Kgとなるようです。推定体内水分は、0.537×75.2=40.3824Kgカ。
40.3824÷75.2≒53.7%。高齢者の正常値体内水分比率を約55%とすれば、やや除水過多か。体内水分比率 0.3%不足状態
であっても、それが、長期に渡って続いていると人体は、不思議な対応で答えてくれるようです。
しかし、PWI(血液濃縮率)では、以下のような結果が出ている。(平成28年4月11日の血液検査結果から)
前 後
総蛋白 6.7 7.2 PW I
{ ( 7.2-6.7)÷7.2}÷{( 77.5-75.2
)÷77.5}=2.3399758≒2.34
Hb 11.9 12.9
(透析後Hb−透析前Ht)÷透析前Hb×100
(12.9-11.9)÷11.9×100=8.40%
Ht 36.2 38.5 (透析後Ht−透析前Ht)÷透析前Ht×100% (38.6-36.2)÷36.5×100=6.63%
体重 77.5Kg 75.2Kg
上記のPWIから、血液濃縮率は、Hb.Ht共に10%以内の範囲であり、総蛋白量では、2.34であり、適正範囲内の数値であり、現在の
DW 75.5Kgは、適切であろうという結論になります。或いは、もう少しDWをきつくして、DW
75.4Kgでいいのかもしれないという方向が
推測されましょうか。
しかし、4月11日(月)の透析中 最高血圧が、100(同一ナースさんではなく、毎回変わりますし、果たして正しく現れた数値であるのか
は?)を切る事が後半に1回ありました。
この事から、除水量に対する正反対の結論がでましょうか。さて、どちらを選ぶべきでありましょうか。私は、以後除水量を減らす(100ml
単位の整数倍で)方向でしましたが・・・。それでも・・・。
後日、思いもかけない状況が出現。詳しくは、続 透析中の血圧低下について を参照されたい。
( 以上のことは、極めて個人的な数値データ等によるものであり、一般化すべきではないでしょうが、参考にはなりましょうか。 )
これは、実際に私の体内水分量を測定していただく以外解決しないと思っていました。幸い東北福島県郡山市の某透析クリニックには
身体組成測定装置やら実勢血液流量測定装置のある透析病院があり、東北のあの東日本大震災のその後の様子もみてみたく、5年経
ちましたから、私のような透析患者が訪れても差しさわりがなくなっていようと思い一念発起して2016年5月連休明けの14・15・16・17
日(土・日・月・火)の三泊4日の東北旅行を計画中。
そこでのデータが頂ければ、私の疑問に思っている事柄の1つや2つは、解決するのでは・・・・。
付記
TANITA製体組成計にての数値 (平成28年4月26日(火) 身長 178cm 着衣体重 76.6Kg)
裸体重 75.2Kg 体脂肪率 22.5% 脂肪量 16.9Kg 除脂肪量 58.3Kg 筋肉量 55.3Kg 体内水分量 35.0Kg
でした。
35000mL÷75.2Kg≒465mL/Kg
平成28年4月27日(水) 透析後体重 76.2Kg 身長 178cm 当年 68歳
DW
76.5Kg。
推定体内水分量を出す数式
男性 (2.447−0.09516×年齢+0.1074×身長(cm)+0.3362×透析後体重kg)×1000÷透析後体重 に当てはめると
(2.447−0.9516×68+0.1074×178+0.3362×76.2)×1000÷76.2≒535mL/Kgカ
体重1Kg当たり535mL=0.535L相当であれば、私の透析後体重は、76.2Kg−>体内水分量は、0.535×76.2=40.767Lカ
40.767Lを重さに変換すれば、40.767Kg相当になりましょう。
上記体内水分量 40.767Kgは、着衣体重の何%であろうか。 40.767÷76.2≒54%相当カ。高齢者の体内水分量は、約55%。
とすれば、まだ若干引き気味であろうか。それでも、それ以前のあの頻脈が、うそのように消失。除水の目安にはなりましょうか。
次回の透析(4月29日)もDW
76.5Kg相当で実施。体調は、すこぶる良好になっております。
透析後の血液検査等での体内的諸条件も正常範囲内・身体的諸感覚等も良好で、体調も良いのであれば、万々歳であります。その自分
で確認できる目安が、また一つ手に入ったと言えましょうか。
前日のTANITA製体組成計の数値 体内水分量は、35Kg。差は 約5Kgあるようです。着衣体重か裸体重かによる差なのでありましょうか。
まあこの当たりが適切な私の体内水分量と推測してもいいのかも知れない。平成28年4月30日(土)現在、体調は、すこぶる良好であります。