腎機能の残る透析患者の残腎機能についての推測
1.はじめに
平成28年で、透析暦11年目となりました。僅かではありますが、私にはまだ腎機能が残っているようです。完全無尿ではなく、
400〜600ml/日の尿が排出されています。正常尿ではありませんが、その中には、透析で除去すべき物質もかなり多種類に
わたって含まれているのでしょう。
だから、透析日には、2度の透析をしている事になりましょうか。完全無尿の透析患者さんから、私の血液データをみて、「DW
76.5もあれば クレアチニン13 β2MG25 あっても不思議ではありませんね。」とも言われた。
「血液検査データ H 28/ 6/27では、
クレアチニン 10.29 B2MG(mg/L) 20.4 DW
76.5」をみて言われたのでしょう。お
そらく自身と比べた数値でありましょうか。
とすれば、完全無尿患者さんと私のような尿排出患者では、クレアチニンのみの比較では、13−10.29=2.71程多く除去され
ている事になりましょう。
この多く除去されたのを残腎機能と捉えれば、完全無尿透析患者さんより2.71÷13×100≒21%程除去能力があるという
ことではなかろうか。
2.正常腎機能について
健常者の腎臓は、以下の働きをしているようです。
1 水分バランスを保つ
体内の水分量は,口渇による水分摂取と抗利尿ホルモンanti-diuretic
hormone
(ADH)であるバソプレッシンを介した尿量に
より調節。
* バソプレッシン(英: Vasopressin)は、ヒトを含む多くの動物で見られるペプチドホルモン
である。下垂体後葉から分泌され、
抗利尿ホルモン(英: Antidiuretic
hormone:ADH)ともいう。ADHの分泌は血清浸透圧(Na濃度)の極わずかな変化でも起こる
が、体液量の変化に対してはそれほど鋭敏ではない。*
・水分不足→浸透圧が上昇→ADHの分泌が亢進→尿細管(腎臓の一部)の水分再吸収が促進→尿は少量となり(尿量減少)
濃縮されて尿浸透圧は上昇→血液の浸透圧が低下 また,口渇により脳の中枢に刺激が行き,飲水行動を引き起こす。
・水分の過剰摂取→血液の浸透圧が低下→ADHの分泌が減少→尿量が増加
*
人間の水分調節機構(浸透圧調節機構)はNa調節機構(容量調節機構)よりも鋭敏に早期に働くので、Na量が変化しても
血清Na濃度は変化しにくくなっている。その後緩やかにNa調節機構(容量調節機構)が働き正常化するという。
( http://www.saltscience.or.jp/symposium/2006_1.iino.pdf 「ナトリウム・カリウムの調整」 日本医科大学腎臓内科教授
飯野 靖彦氏の論述より引用)
・塩分の過剰摂取や不足も浸透圧を変化させる。この場合,レニン-アンギオテンシン系による血圧の調節によって浸透圧の
調節がなされる。
*
人は,絶食しても1ヶ月はいきられるのに,絶水ではなぜ1週間しかいきられないのか
不感蒸泄により,常に水(約900 ml)が失われる。また,代謝老廃物を排泄するために必要な不可避尿が400
mlあるので,
1日に計1300 mlの水は必要。* 上記の事柄は、http://www.sc.fukuoka-u.ac.jp/~bc1/Biochem/biochem6.htm より引用。
不感蒸泄とは、発汗以外の皮膚および呼気からの水分喪失をいう。皮膚からの蒸散のみを指すという意見もある。不感蒸
泄の量は,条件により大きく変動するが,常温安静時には健常成人で1日に約900ml(皮膚から約600ml,呼気による喪失分
が約300ml)程度であるという。
とすれば、絶水後 0.9L×7日=6.3Lの水が、体内から出た時点で、御名御璽。それと、代謝老廃物の蓄積により、体
内代謝異常で絶命するのでしょう。
一般的に高齢者の場合、体内水分量は、体重の55%(男性)とか。私は、76.5Kgですから約42L程度体内に水分を保
有しているのでしょうか。その内の僅か7L弱の水分が失われると死に至るようです。体内水分量の6分の1程度の喪失で。
2 ナトリウム、カリウムなどの電解質のバランスを管理し濃度を一定に保つ
(上記 「ナトリウム・カリウムの調整」 参照 透析に
て代償 )
3 栄養素である窒素を尿素として排泄し、たんぱく質の代謝を行なう。( 血液検査 尿素窒素に関わる事柄ではあります。透析に
て代償 )
4 重炭酸(アルカリ)を再吸収し、からだが酸性に傾くのを防ぐ。肺(呼吸)と共に血液のpHを調節している。(私の場合は、腎臓での
機能は弱い筈。肺での機能で
まかなわれているのであろうか。)
5 ビタミンD
を活性化することで小腸からカルシウムを吸収し、骨代謝を保つ。 ( オキサロール投与にて代償 )
6 食事(とくにたんぱく質)から摂取されたリンを尿中に排泄することで、血中のリン濃度を保ち骨代謝を保つ。(透析とリン吸着薬
にて代償)
7 レニンと呼ばれる酵素を分泌し、アンジオテンシンUという強力な昇圧物質を介して、血圧を維持する。
*
上記2〜7について詳しくは、http://www.saltscience.or.jp/symposium/2006_1.iino.pdf を参照されたい。
8 エリスロポエチンという物質を分泌し、赤血球の産生を促し、酸素供給を維持する。 ( 私の場合、エリスロポエチン 週
血中酸素不足を感知し、造血ホルモン(エリスロポエチン)を分泌。 2回、750単位透析終了時 静注
詳しくは、http://www.fizz-di.jp/archives/1036993756.html を参照。 透析導入時は、週3 1500単位
静注。かっての半分以下の投与で、
血液量は、維持できているようで、
まだエスポは、分泌しているのだろ
うか?)
9 カルシュームの再吸収をして、体内Ca値をコントロールする。
カルシウムの側からみると,70%は近位尿細管(腎臓の一部),20%はHenle上行脚(腎臓の一部)で再吸収され,PTHはこれら
に関与しません。つまり,PTHが促進する遠位尿細管(腎臓の一部)での再吸収は10%にとどまります。(私の場合、多少は、再吸収
されているのでしょうか。)
詳しくは、http://www.kaibashobo.co.jp/sample/naika0303_sample.pdf を参照されたい。
以上が、私の知る限りの腎機能であります。
3.私の残腎機能について
私の残腎機能の数値を記載しておきます。
某医師からは、あまりあてになりませんとのお言葉を頂いている数値です。e-GFR値(推算値)。血清クレアチニン値・年齢・
性差から出されるようですが・・。日本腎臓学会から出された数式カ。
一度出してみたい方は、http://keisan.casio.jp/has10/SpecExec.cgi?id=system/2006/1210728958 を覗いて下さい。
只、上記HPの数式は、透析導入患者を出さないようにするスクリーニング的な色合いが濃く、既に透析を導入されている患者
には適さない可能性が高い事を承知してお使い下さい。
私の透析導入前の数値 H17/2/2 Cr 8.1 年齢 57歳時のGFR推算値 6.2ml/min
最初の透析日 H17/3/16
透析前Cr 7.5 年齢 57歳時の 〃 6.7ml/min
この当時の実質値は、6ml/min。
年・月・日 h17/11/7 H18/11/6 H19/11/5
H20/11/3 H21/11/9 H22/11/1
血清Cr
11.0
11.68
10.12
10.65
13.18
9.97
年齢
57
58
59
60
61
62
GFR推算値
4.4
4.1
4.8
4.5
3.5
4.8
(ml/min)
年・月・日 H23/11/7 H24/11/5 H25/11/18 H26/11/17
H27/11/9 H27/11/10 H28/6/13
H28/6/13
血清クレアチニン
10.56
10.75
11.40
10.38
11.02
6.53
10.52
10.52
年齢
63
64
65
66
67
67
68
68
GFR推算値
4.5
4.4
4.1
4.5
4.2
7.0
4.4
4.0
(ml/min)
備考 通常透析日 〃 〃 〃 〃 透析なかび 通常透析日 当院血液
市健診にて 検査票
* 通常透析日の数値は、当院血液検査数値を上記 HP上に代入して出した数値です。
平成28年(現在)から11年前のGFR推算値は、6.2ml/minであったようです。透析を受けていませんから実質でありましょう。
60ml/min以上が、腎機能の正常値かと。とすれば、正常範囲下限を「1」とすれば、平成17年でも既に「10分の1」でしかない。
腎不全末期の腎機能でありましょう。
現在は、如何程でありましょうか。2〜3ml/minでしょうか。もっと低いのかも知れません。しかし、僅かではありますが、機能してい
る事は確かな事ではあります。
とすれば、糸球体とそれに続く3つの細尿管も僅かではありますが、働いているのでしょうか。
「正常な腎機能であれば、糸球体は1つの腎臓に約100万個存在し、腎臓病になるとこの糸球体が潰れて、尿が作れなくなる。」
腎臓は、体内に1対。とすれば、約200万個の糸球体が存在している事になりましょうか。
詳しくは、http://www.saltscience.or.jp/symposium/2006_1.iino.pdf
を参照されたい。
「腎臓の糸球体で、血液からろ過する原尿は、正常腎臓では、180L/日とか。糸球体に続く細尿管(3つの部位に分かれる)で、水分
やら体に必要な無機質(P・Ca・K等)は再回収されたり、余剰分は排出され、排尿量は、1〜1.5L/日まで濃縮され、排尿されるとか。」
(上記 PDFより引用)
私の場合、排尿は、400ml〜600ml/日であり、原尿はどれだけで、何がどれだけ再回収・排出されているかは不明ですが、それ
程濃縮されないで、排尿されているのではと某医師から示唆された。通常より水分摂取量が多ければ、多く排尿するようですから少
しは、濃縮やら再回収・余剰分の無機質も排出されているかも知れませんが・・・。
*
仮に糸球体ろ過率を3ml/minとすれば、24時間=1440分 3ml×1440分=4320ml=4.3L。排尿は、400〜600ml。
多少の濃縮は行われているように推測いたします。
*
別の観点から推測すれば、正常腎臓の機能を180L/日とすれば、180000÷1440=125ml/分。私の場合の機能は、仮に
3ml/分とすれば、3÷125×100=2.4%カ。原尿は、4.32Lカ。排出量は、0.5L前後。多少の濃縮等は行われていると言える
のではないでしょうか。
そのように思われるのは、私の血液検査では、オキサロールを週 3回(月 2.5−>5μ・水 2.5・金 2.5−>5μ)に変更して
も、Ca値が上昇しない。Ca値は、透析医学会から出されているガイドライン管理目標値内であり、P値も同様であり、オキサロール増量
によるCa値が上昇しない現象が説明出来ないでいますが、排尿される尿に、相当量含まれている可能性を推測すれば、血中Ca値の上
昇が起こらない事の説明がつくのですが・・・。
某医師からは、「オキサロールが効かない例は、稀です。」とも示唆されましたが・・・・。*
更に、腎不全患者が、透析を長く続けていくうちにインタクトPTH値は、上昇傾向を示すという。そのインタクト値が、500pg/ml以上
になれば、副甲状腺摘出を考えていく事になるようです。
インタクトPTH値を下げるには、副甲状腺のCa受容体が、血中Caが多いと感知すれば、PTHの分泌は低下する筈。そこで、オキサ
ロールの静注をする訳ですが・・・。一向に血中Ca量が多くなる状況になりません。
オキサロールは、副甲状腺からのインタクトPTHの分泌を直接的ではなく、間接的に抑える働きをする筈。その機序は、腎不全下で
は、ビタミンDを活性化できず、(腎臓の働き 5 ビタミンD
を活性化することで小腸からカルシウムを吸収し、骨代謝を保つ。)その為
オキサロール(ビタミンDを活性化させる誘発剤であるとか。)を静注。血中Caが多くなれば、副甲状腺の主細胞の表面には、ビタミンD
受容体、カルシウム受容体があり、カルシウム受容体が、血中Ca値を感知して、インタクトPTHホルモンの分泌を低下させ、インタクトPT
H値を低下させる事になる筈。インタクト値を押さえるには、オキサロール増量が、透析医学会ガイドラインでは、推奨されているようです。
その反面Ca値の上昇と言う副作用が出てくるようですが・・・・。
そりゃそうでしょう。オキサロール増量は、Ca値を上げる狙いであるか
らです。
副甲状腺から分泌されるPTHは肝臓や腎臓で分解され,3つの断片(N末端,中間部,C末端)になります。ただし,PTHの生理活性
はN末端から34個のアミノ酸にあるので,intact(無傷という意味)PTHはもちろん,この部分が残っているN末端も作用を発揮できます
(C末端と中間部には活性がないという。)
*平成28年7月末の血液検査では、インタクトPTH値は、251pg/ml。同年8月3日(月)のホールPTH値は、99.9pg/ml。この値が、
本来のインタクト値。更に同年8月8日(月)のホールPTH値は、125.8pg/ml。やや本来のインタクトPTH値は、上昇した。
ホールでのインタクトPTH値は、透析医学会ガイドラインでみると正常範囲内。通常のインタクトPTH値は、出されていませんから、
比較出来ませんでした。*
PTHは骨の破骨細胞に働きかけて,間接的に骨吸収を促します。すると,ヒドロキシアパタイト結晶Ca5(OH)(PO4)3が溶出し,カル
シウムが血中に入っていく。ところが,破骨細胞にはPTH/PTHrP受容体が存在せず,その代わりが、骨の骨芽細胞に存在するようで
す。
PTHは骨芽細胞膜にRANKL(RANKリガンド)という蛋白を発現させ,それが破骨細胞のRANKに結合し,分化増殖を促し、骨吸収を
促しているようです。直接の働きかけではない、間接的な関与のようです。
その結果ヒドロキシアパタイト結晶が溶出し,併せてリンも血中に流れ込みます。
オキサロールは、小腸でのCaの吸収を促す事で、血中Caを増加させる働き、PTHは、骨格の骨から血中Caを増加させる。同じ血中
Caを増加させる点では同じなのですが、その機序は全く違っている。が、血中Caは増加する筈ですが・・・・。
また、PTHは、そのリンを排除する方向にも働きます。
骨芽細胞の合成・分泌する線維芽細胞増殖因子23(FGF-23)はNaPi(ナトリウム依存性リン輸送担体・・・リンを再吸収する腎臓の一
部機構)の発現量を減らすことによって,腎臓でのリンの再吸収を抑制します。繰り返しになりますが、PTHは、結果的に腎臓に働きか
け、近位尿細管(腎臓の一部)でリンと重炭酸イオン(HCO3−)の再吸収を抑制するという複雑な構成になっているという。
*
NaPi(ナトリウム依存性リン輸送担体)については、http://med.m-review.co.jp/magazine/detail1/J02_22_6_29-34.html を参照され
たい。
果たして私の腎臓は、上記の働きをどれだけしているのであろうか。
Pについては、透析後血中P値は、2〜3mg/dl(平成28年現在)まで低下している。健常者は、2.5〜4.5mg/dlの数値であり、透
析後は、健常者の数値であるようです。次の透析日(1〜2日後)には、透析前 5mg/dl強となり、リン値は、やや上昇するようで、果た
して上記のような働きを十分してくれているのでしょうか。
その為、透析でPを除去し、除去仕切れない分は、ホスブロック錠(P吸着剤)を服用して、便として排泄してバランスを取っています。
FGF-23が腎臓での活性型ビタミンD産生を抑制するのに対し,PTHは亢進するので,カルシウム代謝に関しては正反対の作用を営ん
でいるようです。これって二律背反であり、相殺されているのでしょうか。各ホルモンの対象器官が違いますから相殺されないかも知れま
せんが・・・・。
しかし、正常な腎臓では、カルシウムの側からみると,70%は近位尿細管,20%はHenle上行脚で再吸収され,PTHはこれらに関与し
ません。つまり,PTHが促進する遠位尿細管での再吸収は10%にとどまりますが,微調整という点では重要な働きをしているようです。
が、私の腎臓のその器官は、どれだけ正常な働きをしているのであろうか。再吸収の機能は、どれだけ働いているのであろうか。
その逆の排出機能も。
長期的にPTHが骨吸収(骨を溶かす)を促進することに疑いはありませんが,PTHは骨芽細胞に働きかけるので,間欠的PTH投与は
かえって骨形成を促すことが明らとなっています。その結果として、私の骨回転マーカーであるALP値は、正常値内にあるのでしょうか。
その機序は、intact
PTHとN末端は骨の標的細胞(骨芽細胞)の細胞膜に存在するPTH/PTHrP受容体に結合し,Gs蛋白の立体構造
を変化させ,αサブユニットを解離します。
ここから先は2つの経路があり,骨ではキナーゼC,腎ではキナーゼAを介して核にシグナルが伝達されます。
副甲状腺主細胞の細胞膜にはカルシウム感知受容体calcium sensing
receptor(CaSR)があり,血中のCa2+濃度が上昇すると,Gq
蛋白の立体構造の変化とキナーゼCの活性化を介して核にシグナルが伝達され,PTH分泌は止まります(シグナルが伝達されないと,
PTHは分泌され続けます)。とすれば、継続してPTHが上昇しているようですから、シグナルは、伝達されていないとも取れそうです。
しかし、オキサロール増量で、Ca値が上昇する筈ですが、私の場合は、Ca値は、透析医学会ガイドラインの適正補正Ca値内のまま
であり、Ca値は、上昇していません。また、ALP値 骨回転マーカーは、正常値内であり、骨吸収と骨形成は、うまくいっているようです
が・・。
推測ですが、私が、完全無尿状態にならなければ、尿の中に、再吸収されなかったCaやほんの僅かのPが含まれ、再吸収されたCaは、
少量で、Pの大部分は、排出されないで血管へと戻っているのでしょうか。まさか、血管内で、異所性石灰化への働きをしてはいまいか。
*異所性石灰化については、 http://www.myschedule.jp/jsdt_archive/detail.php?session_unique_id=060-0150&sess_id=15064&strong=1
及びhttps://www.iyaku-j.com/iyakuj/system/M2-1/summary_viewer.php?trgid=29887
を参照されたい。
といっても現状のバランスで、透析を続けていく事が、ベターな選択でありましょう。また、PTH管理には、レグパラ錠が適しているようで、
現在、服用中。検査結果が揃ったらまとめてみたいと思っています。
付記 1
運動 筋肉を使うとリンの数値が下がります(メカニズムは不明)。経験的に知られていることでしょうが・・。
しかし、通常はこの運動性K放出(細胞内から血液中へ)は問題となりませんが、β2遮断薬(血圧降下剤の種類)を服用している患者では
時に1.5〜4
mEq/Lの血漿K上昇をきたす場合があるので注意が必要であるとの事。念のため。
付記 2
私の腎臓へ血液を流す腎動脈の大動脈の分岐点と腎臓への入り口付近には、血管石灰化が確認出来ています。いつ頃石灰化したの
かは不明ですが、透析導入3年目頃には、存在していた。偶然市民病院でMRIをした画像に写っていた。
相当早くから腎臓への血流不足が徐々ではありますが進行していた可能性を推測致します。これが、腎不全を更に助長したのではない
かと。今となっては、遅いのですが・・・・。
付記 3
「CKD患者に対する治療戦略としては,原疾患治療に加え,高血圧・高脂血症・耐糖能異常・貧血・電解質異常・酸塩基平衡異常などの各種
腎疾に共通した腎機能悪化因子を排除する,というのが一般的である。しかしながら,それらの増悪因子を十分コントロールしても,特に尿蛋
白が多い症状の場合はCKDが進展してしまうことをしばしば経験する。
PPARαは核内転写調節因子の一種。脂肪酸フィブレートなどのリガンド結合するとレチノイドXレセプターとヘテロダイマーを形成し,標的遺
伝子の上流にあるPPAR遺伝子結合部位に結合することで標的遺伝子の転写活性を調節する。PPARαの代表的な標的遺伝子は,ミトコンド
リア脂肪酸代謝酵素群などの脂質関連遺伝子であることが明らかとなった。腎臓において,PPARαは近位尿細管に高発現していることが知ら
れていたが,その生理的機能については長らく不明であった。
2002年に,PPARαの欠損があると飢餓時のような脂肪酸由来のエネルギー生成が必要な場合に腎皮質におけるエネルギー代謝が破綻し,
尿細管での蛋白再吸収機能に障害が起こることが初めて報告された。
多くの疫学調査から,CKDは蛋白尿が多いほど進行しやすいこと,蛋白尿は尿細管・間質障害を引き起こす可能性があること,CKDの予後
は尿細管・間質障害の程度と強く相関することが明らかとなっている。
近年,蛋白尿による尿細管・間質障害の原因として,尿蛋白に結合した脂肪酸の重要性が報告され注目されている。脂肪酸は主にアルブミン
と結合し循環しており,アルブミンと共に糸球体から濾過されると,近位尿細管に取り込まれ速やかに脂肪酸β酸化を受けATP合成に利用され
る。糸球体障害などで,高度の蛋白尿が出現する場合には,尿細管の代謝能力を上回った脂肪酸が負荷され,代謝不全の脂肪酸が増加する
ことで脂肪酸毒性が出現し尿細管障害を引き起こす可能性が示唆されている。」
上記の記述は、https://www.jstage.jst.go.jp/article/shinshumedj/58/1/58_1_17/_pdf 「PPARαの腎保護作用を利用したCKD治療の可能性」
と題する信州大医学部附属病院腎臓内科 上條祐司氏の論考からの抜粋です。
とすれば、私の尿蛋白は、平成27年11月頃 4+であった。徐々に蛋白尿の濃度は増している。腎臓の糸球体直下の近位尿細管は、相当
のダメージを受けていると推測致します。蛋白再吸収機能・Ca再吸収機能に障害が起こっていることでしょう。勿論Pの排出等にも障害は起こっ
ていると推測されます。それだから、細胞で再合成された蛋白質の変異したB2Mg(一種の蛋白質)は、再吸収されず、尿として排出されている
のでしょう。逆に、尿量があるが故に、血中でのB2Mg値は、完全無尿患者さんよりは、低位を保てていると推測する。
付記 4
蛋白質・アミノ酸について
詳しくは、http://www.suzugamine.ac.jp/arinobu/gakusyuu/protein.pdf を参照されたい。
「肝臓に運ばれる血流の3割が肝動脈から,7割が門脈を経由して運ばれます。小腸から吸収されたアミノ酸は、一旦肝臓へ運ばれる。
肝臓に入ったアミノ酸は、3つの作用を受ける。 *
門脈(静脈)とは、小腸から吸収されたアミノ酸を肝臓に直接運ぶ血管
@たんぱく質に再合成され,肝細胞のたんぱく質や血漿たんぱく質となる。なお,血漿たんぱく質の60%はアルブミンである。
Aアミノ酸の一部は肝臓で分解され,アミノ基は尿素となって腎臓から排泄される。炭素骨格からは糖質またはケトン体が作られる。
B肝臓から血液中に入ったアミノ酸は,全身の組織に運ばれ,たんぱく質の合成などに利用される。」
付記 5
尿蛋白の成分について
詳しくは、http://www.okayama-u.ac.jp/user/hos/kensa/ippan/u-tp.htm を参照されたい。
「正常尿には総蛋白として1日40〜80mgが排泄されており、その上限は1日150mgであるとされている。その内訳は、アルブミン 40%、IgG
5〜10%、免疫グロブリンのlight
chain 5%、IgA
3%であり、IgDやIgMは検出されない。また尿蛋白の約60%は、血漿由来であり、残りは腎実
質および尿路由来であると考えられている。一般的に、尿蛋白は1日尿蛋白排泄量が150mgを超えるものと定義されている。
尿蛋白の主なるものは糸球体毛細管壁の蛋白透過性の亢進であり、一部は尿細管における蛋白再吸収や処理の低下に起因する。
* ネフローゼ蛋白尿
1日蛋白排泄量が3.5g以上の蛋白尿であり、この範囲の蛋白尿は通常、糸球体起源であり蛋白尿の主体はアルブミンである。蛋白は、糸
球体毛細管壁のsize barrierとcharge
barrierの障害により出現する。
*
尿細管性蛋白尿
1日蛋白排泄量が2gを超えるものは少なく、その中でアルブミンの占める割合は少ない。β2マイクログロブリン、α1ミクログロブリン、レチ
ノール結合蛋白、リゾチームなどの低分子蛋白や尿細管のlysosome由来の酵素であるN-acetyl-β-D-
glucosaminidase(NAG)、尿細管の
brush border由来の酵素であるγ-GTPなどの尿中酵素の排泄上昇が尿細管質障害の診断に役立っている。
私の場合は、現状では、糸球体毛細管壁の障害と尿細管質障害により、アルブミン・B2Mg・α1MG等が、尿中に多く含まれていると推察出
来ます。
平成27年11月の市の健康診断では、私の尿蛋白診断は、4+。いったいどれだけの総蛋白量でありましょうか。
某病院での専用尿化学分析装置(ビジュアルリーダー)で測定する場合を例にして数値を出してみようと思います。
蛋白尿 −
± 1+ 2+ 3+ 4+
150mg/L 未満 150mg/L以上 300mg/L以上 1g/L以上 3g以上 10g/L以上
300mg/L未満 1g/L未満 3g/L未満 10g/L未満
上記判定数値から言えば、私の尿中には、総蛋白が、1ℓ中 10g以上存在している事になりましょうか。その当時400mLの尿を排出して
いた時には、4g以上相当の総蛋白(アルブミン・B2Mg・α1MG・ペプチド等)を体内から排出していたのでしょう。
参考までに拙稿 http://maxkik.web.fc2.com/b2mg.htm を参照されたい。北里大学付属透析病院が出された研究報告(人工臓器17巻1号
1988年)を基に平成27年当時の私の尿として排出したB2-MG量を概算で出しますと、2.7日間で497mg相当であったかと。497÷2.7≒184
mg/日となりましょうか。、上記尿細管性蛋白尿の範疇にはいるのでしょう。α1−MGについては不明。(α1−MGについての体内の働きは、
現在でもはっきりしていないのでは・・。)
仮に平成27年11月の総蛋白量の4+を 4g以上と想定した場合、4−0.184≒3.8gカ相当のアルブミンの排出を想定しないといけない事
になり、間違いなく私の尿は、ネフローゼ蛋白尿と尿細管性蛋白尿を伴っている事になりましょう
その当時のアルブミン値は、3.7g/dLであったかと。変換すれば、37g/L。その当時の透析前体重76.4Kg(裸体中ではありませんが・・・。)
また、人の体内の血液量は、体重の13分の1 約8%かと。
とすれば、76×0.08≒6(ℓ)。37×6≒222gのアルブミンが血液中に内在しているのでしょう。仮に222−3.8(尿中アルブミン)≒218gが
残り、透析にて、5〜6gの漏出があったとしてもその量は、僅かでしかない。3.8+6≒10g弱相当の減少は、全体量からみれば、10÷222×
100≒4.5%でありましょうか。僅かとはいえアルブミンは、細胞へ脂肪酸を届ける、Ca2+イオンと結合したりして重要な働きをしているのであり、
通常 アルブミン値は、4g/dLが望ましいと。私は、それより低い上に漏出・排出さえもしている現状では、少しでも漏出は押さえたい所であります。
私は、透析に入る以前には、腎臓病に関わる腎臓専門医にかかっていましたが、尿検査と血液検査をするのみで、あとは食事内容の注意を
するだけで、積極的に進行を止めるべき尿蛋白の成分等の検査は、一度も受けたことは無かった。時既に遅しの為にされなかったのか、無為
に時間が過ぎた思いが強いのですが・・・。